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日本刀の形態研究 第三章 図解による刃文の時代的変換-四

日本刀の形態研究(五)-四

第三章 図解による刃文の時代的変換-四


○互の目乱(和泉守兼定)
匂出来締り、刃が尖り激しい。帽子乱れ込み、普通に返る。
兼定に多く見受ける刃文で、帽子の返り深いものもある。その他三代兼定又は兼房にある、兼房は焼刃に丸味を持ち平造り脇差し又は短刀に多い。
互の目乱(和泉守兼定)

○小互の目小乱(孫六兼元)
小沸つき、小互の目小乱尖り刃を交え、帽子乱れ込み刃巾細い。
従来兼元は三本杉刃といわれているが、実際はこの小互の目小乱が多く、三本杉刃もあるが完全なる三本杉にはならない。真の三本杉は、新刀関または伊予大掾勝國に多い。
小互の目小乱(孫六兼元)

○箱乱(伊勢村正)
匂出来刃締り大きく乱れ箱乱れを呈す。
他に伊勢正重がある。又美濃兼房などこれに近いものがある。平安城長吉、和泉守兼定もこれに似るが刃ゆるやかなるもの多い。兼定は他に刃激しく尖るものがある。
箱乱(伊勢村正)

○直小乱(興三左衛門尉祐定)
匂出来直に小乱心の足入り、飛放たれ流れる気味、帽子小丸焼巾深い。
長船忠光、同治光、同五郎左衛門清光等その他末備前もの。若洲冬廣、平長盛等にも見られる。
直小乱(興三左衛門尉祐定)

○皆焼(興三左衛門祐定)
沸深く、焼巾深く皆焼に焼く。
次郎左衛門勝光、相州綱廣、同総宗、平長盛、美濃兼房、同兼常、宇多國宗、同國次等にある。
皆焼(興三左衛門祐定)

○直ほつれ(三原正興)
匂出来締り、幾分肌にほつれて尋常ならず。棟焼を交える。帽子砂流し交じりて火焔となる。裏帽子の焼刃変わる。
正輿を初め、三原ものの特徴、そして棟焼のないものの方が多い。猶鎬の幾分高めのものがある。その他末備前を始め、末古刀にはこの作風に似たものを多く見る。
直ほつれ(三原正興)

○皆焼(相州綱廣)
沸出来乱刃に飛焼を交え、皆焼の風をなす。帽子、小丸乱れ心。
相州康春、同康國、宇多國宗、加州初代兼若等にある。康春、康國は短刀又は脇差に多い。
皆焼(相州綱廣)

○湾刃(陸奥守大道)
匂出来にて湾、締りてハッキリした刃文。
関兼房、その他関一族、若狭守氏房、伊勢村正、平安城長吉、それに末備前もあるが刀又は詰りたる無反りの短刀に限る。大道のこの作品には氏房が一番近い。
湾刃(陸奥守大道)

○小互の目丁子(加州勝家)
匂出来焼頭に煙る、やや崩れ気味、帽子乱れる。
勝家の他この時代の加州もの、同田貫一派にある。金房政次の一派にも、同田貫は巾広いものが多い。
小互の目丁子(加州勝家)

○互の目乱(堀川國廣)
沸出来、刃中へ沸の藻が咲く、砂流の気味、帽子直に砂流あり、返り浅い。
この刃文は國廣の作風があるが、更に沸崩れの交じりたるもの、帽子乱心のもの、また帽子表裏変化のあるものなど見受けられる。
その他大隅掾正弘、堀川國安、出羽大掾國路、初代康継、肥後守輝廣、播磨守輝廣にもある。
その中でも輝廣は幾分刃締る傾向がある。
互の目乱(堀川國廣)

○湾小乱(埋忠明壽)
小沸つき、浅き乱、焼の谷沸深い、返り浅い。
初代忠吉、総じて新刀期初のものにある刃文及造り込み。
湾小乱(埋忠明壽)

○直乱(野田繁慶)
沸出来、荒沸も交じる。直不調にて刃縁足入り、肌にからみ砂流を交え、刃中足飛びて働く、帽子掃掛。
初代重國の初期作、武蔵大掾忠廣にあるが、しかし地鉄が違う、繁慶の荒い板目に対し重國は柾交じりの板目忠廣は小杢目。
直乱(野田繁慶)

○皆焼(初代康継)
沸出来遺憾なき皆焼刃をなす。古作長谷部國重を模す作柄。
大和大掾正則にも時折見受ける。山城守秀辰、その他新刀関にある。出羽大掾行廣にもある。
皆焼(初代康継)

○乱刃(初代兼若)
沸出来、荒沸も交じる。やや角張りたる刃交じり喰違刃もある。帽子焼刃深く返る。
初代兼若の特徴は角張りたる刃、喰違刃等がそれであって、古作志津の風情のあるものです。
初代兼継にも似たところがある。しかし兼若程角張らない。
また地鉄が杢目がハッキリ目立つ、堀川國廣にも類似の作風がある。
地鉄は兼継と反対にザングリと弱い感じである。総じて慶長頃の新刀に多くこの作風を見る。
乱刃(初代兼若)

○直喰違刃(南紀重國)
沸つき砂流し交り喰違刃あり、帽子掃掛けて焼詰。
手掻包國、二代重國、山城大掾國包、山城守國包等がある、重國は板目に柾交じりであるが國包の方は純然たる柾目肌である。
直喰違刃(南紀重國)

○互の目乱(出羽大掾國路)
沸出来、互の目乱、沸崩れる所あり、帽子中たるみ。
中たるみの帽子は古作左文字等を模倣したものであろう。國路及び三品一派にこれが多い。
この互の目乱は範囲広く堀川國廣一門にも見られる。この造り込み菖蒲造りは長巻直しの刀から得たものであろう。
新刀初期特に國廣一門に多い。下って新々刀にも見る。
互の目乱(出羽大掾國路)


(「日本刀要覧」より)

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