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二○二一年度「現代刀職展」表彰式を開催

二○二一年度「現代刀職展」表彰式を開催

 
 東京オリンピック開催中の七月二十九日、公益財団法人日本美術刀剣保存協会 (酒井忠久会長) の「現代刀職展」表彰式が、第一ホテル両国において開催されました。
 当日は、来賓として高村正彦元外務大臣 (日刀保名誉顧問)、甘利明衆議院議員(「刀剣・和鉄文化を保存振興する議員連盟」共同代表)、文化庁・鍋島豊文化財第一課課長、当組合の深海信彦理事 長のお三方が臨席されました。
 式典は午後一時半から執り行われました。初めに酒井会長から、刀剣文化を支える伝統技術の保護と普及、啓蒙という公益活動としての新作展であるとの講話と挨拶があり、続いて甘利衆議院議員と文化庁の鍋島課長から祝辞が述べられ、表彰式へと移りました。

 特賞ではまず作刀の太刀の部より、高松宮記念賞を受賞した滋賀県の北川哲士さんに、賞状と記念品が授与されました。続く薫山賞は熊本県の北村光宏さんが、寒山賞は愛媛県の藤田宗久さんが、日本美術刀剣保存協会会長賞は福井県の森國利文さんがそれぞれ受賞を果たし、賞状と賞杯と賞金、玉鋼が授与されました。
 同じく短刀・剣の部では、薫山賞を千葉県の山下浩郎さんが、寒山賞を栃木県の加藤政也さんが受賞しました。
 研磨の鎬造の部では、特賞の木屋賞に兵庫県の井上聡さん、竹屋賞に千葉県の小川和比古さん、千葉賞に岩手県の菊池真修さん、薫山賞に東京都の神山貴恵さん、寒山賞に栃木県の枝松孝治さん、日本美術刀剣保存協会会長賞に鳥取県の柏木良さんが、それぞれ受賞しました。また平造の部では神山貴恵さんが日本美術刀剣保存協会会長賞に選ばれ、ダブル受賞となりました。
 白鞘の部からは、岩手県の永洞修さんが日本美術刀剣保存協会会長賞を受賞。刀装の部では、岐阜県の山田真也さんと新潟県の佐久間保男さんが日本美術刀剣保存協会会長賞を受賞しました。柄前の部は、日本美術刀剣保存協会会長賞を東京都の飯山隆司さんと前記の山田真也さんが受賞しました。また、白銀の部では日本美術刀剣保存協会会長賞を愛媛県の三島幹則さんと京都府の上野宏樹さんが受賞しました。

 
 特賞に続いて、各部門より優秀賞、努力賞、新人賞、入選の表彰が行われました。
 名前が呼ばれた受賞者は緊張した趣で次々と登壇し、表彰状が授与されると、会場からは拍手が沸き、お祝いムードに包まれました。 それぞれの表情には、この晴れの日を迎えるまでの長かった努力が報われた喜びが現れていました。
 続いて、理事会において白銀師の飯山隆司さんが柄前の部の無鑑査に認められたとの発表があり、 酒井会長から資格認定証の授与が行われました。
 この後、審査員を代表して吉原義人氏 (作刀) と柳川清次氏 (研磨) から講評が述べられました。柳川審査員は、「技術的な技は日々の努力で必ず良くなっていくものです。でもその先に感性、感覚というものがあります。見識の高い方が持っているイメージは共通していて、これを磨くには良い刀を見て感性を磨くしかないのです。研磨した刀をもう一度見て、刀匠の個性と時代を表現できているかを考えることです」と指摘され、私も良い勉強になりました。
 式典は一時間半ほどで滞りなく終了となりました。閉会後は、和やかな雰囲気のうちに記念写真の撮影となりました。受賞者の皆さんを写していて、あらためて若い刀職者の将来に期待をしたいという気持ちになりました。
 また、数年前には見られなかった女性の受賞者が今年も目立っていました。女性の社会進出が話題になる昨今ですが、刀剣の世界も例外ではないようで、同慶の至りです。
今年の表彰式は近年になく 賑やかだった印象が強く、コロナ禍の状況下でも日本刀の世界は力強い歩みを重ねていることが感じられました。

 



《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第61号」(2021年9月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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