コロナ禍の最中の組合

　交換会や今後のことについて、近ごろ考えます。
　毎月の交換会会場で、組合員の面々が顔を合わせます。常連ばかりでなく、入会間もない若い世代や、遠方から高い経費をかけて来られる方もいます。そこでは取引が行われるだけでなく、親睦を深めたり、情報交換の場となる側面もあるでしょう。
　組合ではこれまで、新型コロナウイルスの感染予防に気を配り、一人の感染者も出さないように市場を運営してきました。しかし、昨年は緊急事態宣言の発出を受けて二度休会した後、夏ぐらいから陰りが見え始めてきました。
　出品される品物が少なくなり、それは組合ばかりでなく、どこの市場も品不足で早く終わると聞きます。
　品物が少ないわけですから出来高も少なく、主催者が受け取る歩金も自ずと低迷しています。　

　理事会ではしばしばこの問題を取り上げ、何とか打開する方策はないか、検討を行いました。
　しかし、このようなコロナ禍の状況が続いていく限り、参加者と出品数・売上高の好転は望み難く、赤字運営になることは避けられません。組合員・賛助会員の皆さんから会費を預かり、運営を託されている執行部としては、このままの状態で交換会を続けることはできないという結論に達しました。不本意ではあるが、毎月の交換会を年二回の開催とし、その二回で最大限の成果が得られるよう注力することになりました。
　コロナが終息した時には、当然、あらためての検討が行われるはずです。　
　その間、組合員の皆さんにはできるだけ不都合がないようにと、希望者については、他の交換会への受け入れを要請しました。 今大切なことは、組合を守っていくことです。組合はみんなの財産です。刀を生業とするわれわれは、政府公認の組合に属していることに、大きな価値があるのです。その組合は、組合員の社会的地位と生活の向上を図り、業界の安定と発展のために機能する組織でなければなりません。
　現在の組合の事業では、教育委員会や財団法人など公的機関のご協力も相まって、刀剣類の評価査定・買い取りのウエートが高まってきました。依頼があれば、担当役員が地方出張もいとわず、誠意を持って対応しています。そのおかげもあって、今期の決算は黒字となりました。　
　今後の組合交換会は、これらの買い取り品も多数出品されるはずですから、ご期待ください。
　今しばらく、コロナに負けず頑張りましょう。

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第59号」(2021年5月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》