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再開した交換会は新方式で 東京美術倶楽部で三ヵ月ぶりに開催

再開した交換会は新方式で 
東京美術倶楽部で三ヵ月ぶりに開催

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、特別措置法に基づく緊急事態宣言が七都道府県に発せられたのが四月七日のこと。十六日には、政府が緊急事態宣言を全都道府県に拡大。東京は特定警戒都道府県と位置付けられ、最低七割、極力八割の接触削減の実現が呼びかけられました。
 東京都の緊急事態措置に基づく休業要請が発せられると、われわれ組合員も自粛を余儀なくされ、店の休業、市場の休会と、業界の基盤を揺るがされる事態に追い込まれました。刀剣関係の市場が開かれる東京美術倶楽部ビルも休館となってしまいました。
 刀剣の市場は、先の大戦中でも休むことなく運営されていたと聞きます。長い業界の歴史の中で、今回は負の歴史として刻まれる未曾有の出来事となったわけです。全く商売ができなかった方もおられ、皆さまがつらい思いをされたことと思います。
 再開する交換会を安全に開催するにはどうしたらいいか……。六月十二日夕方、東京圏の組合理事十三名を中心として、安全対策会議が新橋プラザビル内の東京美術刀剣商業協同組合において開かれました。会議の冒頭、深海理事長から「東京美術倶楽部の要請も踏まえ、総理大臣認可組合であるわが組合の交換会の場から万が一にも感染者を出さないよう、徹底した感染防止対策を講じる必要がある」との説明があり、参加した理事からはその後の討議でさまざまな対策が提案されました。
 三時間以上にわたる協議の結果、新しい安全な交換会の形として、①入場者全員の検温を実地し37.5度を超える方は入場をお断りする、②マスクを着用する、③アルコール消毒液による手の消毒を行う、④会場では私語を慎む、⑤水分補給を除き会場内での飲食は禁止とする、⑥品物の並べ方をコの字型にすることで参加者間の距離を保つ、⑦セリ台の品物をカメラを通してディスプレイに表示し入札ミスを防ぐ、等々、多くの方針が取り入れられました。
 三ヵ月ぶりに開催された六月十七日の組合交換会では、実際にこれらの対策が実地されました。
 今まではセリ場の前に集合して品物の品定めが行われていましたが、この日は密を極力避けるために、競り開始前に品定めをしていただくこととしました。そこでは、品番などのメモを取る会員も散見されました。
 午前十時前には交換会の準備がほぼ整い、深海理事長の挨拶に続いて市場がスタートしました。従来の市場風景とは違う形になりましたが、皆が変わらず元気な姿で集えたことは何よりでした。
 いつもなら、お昼にはお弁当を食べながら歓談のひと時があるのですが、今回は会場内での食事は禁止。しばらくは我慢ですね。
 交換会終了後は理事会が開催され、本日の反省も踏まえ、今後の交換会や組合事業の運営について話し合われました。品物の下見は市場が始まる前だけではなく、途中の休憩時間を適宜利用しては、との提案もありました。安全対策については絶対に感染者を出すことがないよう、あらためて各人が認識を強めました。
 ああ、中国発の新型コロナさえなかったら、、、と恨んでいても始まりません。これからもわれわれは、日々の努力でこのコロナ禍を乗り切っていかなければなりません。
 本紙前号で深海理事長が書かれていたように、業界のインフラには全く変化はなく、刀剣業界は決して不景気でも不況でもありません。それぞれが健康を維持してこの苦境を乗り切れば、遅れはいくらでも取り返せるのです。この指針は誠に力強く、大きな励みになっています。
 みんなで力を合わせ、刀剣商業界の一日も早い回復を目指そうではありませんか。
(生野 正)

これからの安全な交換会運営について討議した

 従来の風景とはやや趣を異にした交換会

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第54号」(2020年7月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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