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■全刀商の活動 『刀剣評価鑑定士』実行委員会 資格社会への適応に向けて実施に取り組む

去る九月一日、当組合の新規事業として準備中の「刀剣評価鑑定士」の検定試験問題検討会議が開かれました。

当日は一般社団法人日本甲冑武具研究保存会から棟方武城常務理事、公益財団法人日本刀文化振興協会から阿部一紀常務理事の両名のご出席を賜り、主に甲冑と作刀・研磨・白銀·鞘などの刀剣諸職に関わる設問に関して協議されました。

まず深海信彦相談役からあらためて説明があり、難解な法令の問題などは、刀剣商のみならず、時代甲冑を扱ったり古い刀を研磨したりする職方の方々も直面する問題であること、われわれ刀剣商が先陣を切って資格制度を創設していくので、作問に当たって甲冑や刀に携わる多方面の団体の方々からもご協力を賜りながら一緒に勉強をしていきたいと、趣旨を述べられました。
2機関の代表を迎えて開催した検討会議

刀剣評価鑑定士プロジェクトは、昨年三月の理事会での承認を経て始動し、現在は問題作成作業の最終段階に至っています。

最初に理事および監事からなる実行委員が、五十問ずつ持ち寄りスタートしたこの作業は、考えていた以上に困難を極めました。

というのも、組合員の多くが刀剣・刀装具に対しての知識は十分持っていますが、さて法令関係になるといかかがでしょうか。日ごろから古物営業法に従って古物台帳も記帳しているし、古物講習会に出ているぞ、との反論もあるでしょう。しかし、いざ試験問題にして厳しく検討してみると、なかなか難しいのです。

私たち刀剣商に密接な法律というと、さらに銃砲刀剣類所持等取締法・特定商取引法・消費者契約法、最近は象牙の取引に関係する種の保存法なども挙げられます。

「刀剣評価鑑定士」実行委員は、これら多くの法律の中からも重要度の高い問題を抽出して、受験者が問題を読んだときに理解しやすいように、また、いたずらに引っ掛け問題化することのないように考慮しています。

刀剣評価鑑定士の資格は、総理大臣認可組合が、評価鑑定を行うに足りる十分な知識と経験を有する組合員に対して付与する資格であり、刀の知識や販売の経験があるというだけでは合格できない試験ということになります

さらに本資格が信頼と権威があるものとして広く認められるように、公益財団法人日本美術刀剣保存協会、公益財団法人日本刀文化振興協会、一般社団法人日本甲冑武具研究保存会、警察庁や文化庁などの関連機関からの協賛を得て参ります。そのためにも一字一句間違いがなく、異議を唱えられない設問を造る必要があるわけです。

この制度は、早期の立ち上げが望まれています。まず受験資格を持つ組合員と賛助会員に取得を目指していただきます。刀剣評価鑑定士資格を普及させることで、刀剣商や日本刀に関わる仕事に従事されている方々の五年、十年先の社会的地位の向上を目指します。

今や、何をするにも資格が必要な社会になっています。私たちの業界に限って資格と無縁でいられるということはあり得ません。

皆さまのご理解とご協力をお願いします。 (生野正)

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第37号」(2017年9月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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