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新刀剣博物館の地鎮祭を挙行 開館は平成29年9月

去る七月六日、新刀剣博物館予定地(墨田区・両国公会堂跡地)において、公益財団法人日本美術刀剣保存協会(以下、日刀保)による地鎮祭が挙行されました。来賓としてお招きをいただいた当組合の深海信彦理事長に同行し、取材をお許しいただきました。

昨夜来の雨がやみ、さほど暑くもなく、まずまずのお天気に恵まれて午前十一時、神事は始まりました。

日刀保からは小野裕会長・柴原勤専務理事・志塚徳行常務理事・福本富雄常務理事ら役員の方々が出席され、来賓として公益財団法人日本刀文化振興協会から河端照孝特別相談役がご出席、また、槇総合計画事務所・槇文彦代表取締役、戸田建設・今井雅則代表取締役社長ら多くの関係者もお祝いに参加されました。
刀剣博物館の新築工事予定地で挙行された地鎮祭

式は降神の儀、祝詞奏上、鍬入の儀と順調に進み、玉串奏羹では、初めに小野日刀保会長が、次に深海全刀商理事長が、続いて来賓の代表者が次々に神殿に向かい奉納されました。地鎮祭終了後は、両国第一ホテルに会場を移し、祝賀式典が開催されました。地元の山本亨墨田区長からも祝辞が寄せられ、慶祝ムード高まる式典を後に、深海理事長と私は心地よく帰路に就きました。私は、地鎮祭の取材に先立って、日刀保の柴原専務理事にお話を伺いました。

柴原氏は長年宮内庁に奉職されてから、日刀保の専務理事に就任し、活躍されている方です。博物館の移転先としていくつかの候補地を回った中で、第一希望であった旧安田庭園が建設地に決まったときの喜びをお詰しくださいました。交適の便も良く、外国からの訪問者も訪れやすい。世界に向けて、この素晴らしい地で刀剣文化を広めたいと考えたそうです。若い愛刀家が増えてくることにも期待したいし、その方々にぜひとも一振の刀を持ってほしい、とも話されていました。

今後は、耐震性に優れた建物になるわけですから、より安全で快適な展示が可能です。国宝・重要文化財級の刀剣もこのような環境の中で皆さまにご覧いただけます。こ期待くださいとのお言葉でした。

新博物館は来年の夏ごろに完成して、九月に開館が予定されています。地上三階建て、高さ一六メートル、延べ床面積二六〇〇㎡、敷地面積は約二〇〇〇㎡です。一階はエントランスホールのほか、地域情報コーナー、情報ラウンジ、カフェ、研修室と講堂が設けられ、二階は受付と事務室、会議室、収蔵室などになります。三階が展示室と展示倉庫です。

新刀兼博物館の完成予想図(合成写真)設計はヒルサイドテラス、京都国立博物館、幕張メッセなどを手がけた世界的な建築家、槇文彦氏です。工事は戸田建設が請け負います。

周りを見渡すと、美しい日本庭園に囲まれています。ここは明治維新後、旧備前岡山藩主池田章政侯の邸宅となり、次いで安田善次郎氏の所有となりました。氏の没後の大正十一年、東京市に寄付され、関東大震災、太平洋戦争を経て、東京都から墨田区に移管されたもので、全面的改修を行い復元、旧安田庭園として開放されてきました。庭園は、刀剣博物館完成後も墨田区民の憩いの場として公開されることになります。

付近を歩いてみると、交差点を渡って目に入るのは両国国技館、裏手には江戸東京博物館が…。すごい立地です。私個人としても本当にうれしいです。

開館後は、今までの十倍も二十倍ものお客さまが訪れる名所になることでしょう。刀を扱う者として、これ以上の喜びはありません。刀は日本人が誇れる文化財だということを、世界中発信できることになるのです。 (生野正)

《※本記事は、弊社代表が執筆し、組合誌「刀剣界 第31号」(2016年9月15日発行)に掲載された内容を再構成したものです。》

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